ネパール旅行④今日の始まり
早朝の空気はピンと張って冷たかった。
用意しておいた服に着替え身支度を整える。
持ち物も再確認。
息子はまだ夢の中。
寝ているまま着替えをさせた。
抱き上げると迷惑そうに少し目を開けてまた眠った。
時間は5時。
ホテルの中庭を通るとよりいっそう空気の冷たさを感じる。
ロビーには同じようにツアーに出かける人が何人もいる。
その雰囲気を察して息子が起きる。
車に乗り込み、まだ暗い町の中を走っていく。
息子のお気に入りだ。
まさかインドで見ているだけの車にネパールに来て乗れるなんて。
まだ眠そうな息子も嬉しそうににんまりと笑う。
だんだんと道が細くなり山道になっていく。
ホテルを出て40分程で駐車場についた。
ここからは徒歩だ。
急な石段を登っていく。
だんだんと一歩が重くなっていく。
荷物も重いが息子を抱いて登る旦那もしんどそうだ。
寒いと感じていたはずなのにだんだんと体が温まってくる。
目的地に着くと少しずつ空が明るくなり始めていた。
暗闇の中のヒマラヤは、昼間以上の存在感でそこにあった。
東の空が少しずつ少しずつ赤く染まっていく。
山もだんだんと白んだ空に浮かび上がってくる。
そしていよいよ。
まずは一番高いアンナプルナ1峰に今日一番初めの光があたる。
左から2番目に赤く染まる山がアンナプルナ1峰(8,016m)。
左はアンナプルナ・サウス(7,216m)。
標高の高い順に少しずつ朝を迎えていく。
アンナプルナ2峰(7,937m)
アンナプルナ4峰(7,525m)
マチャプチャレ(6,993m)
刻刻と変わっていく色。
何千年、何万年、山々はこうして朝を迎えてきたのだ。
私の何十年なんて、なんてちっぽけなんだろう。
そして私の何十年がどれだけわずかで貴重なものなのだろう。
一日一日、大切に朝を迎えよう。
↓すべてはここから始まった。