別れの季節、その裏で
別れが多いこの季節。
たくさんの友達がインドを去っていく。
人生の中でもう何度もこの季節を過ごしてきたけど、結婚するまで実家暮らしだった私は、環境は変われどすぐに会える距離にいるお別れの方が多かった。
ここにいると、インドと日本、または第三国という、本当に遠くなるお別れが多い。
寂しさ、悲しさはもちろんのこと、インドを離れられる羨ましさ、自分はいつ帰れるのか、取り残されるような侘しさ、色んな気待ちでいっぱいになる。
インドで暮らす大変さや、だからこそある楽しみを、一緒に味わった友との別れ。
偶然の積み重ねで今一緒に過ごせていることを、インドにいるとより強く感じる時がある。
別々の場所で生まれて育って、結婚した相手がたまたまインドに駐在になって、ついてくると決心して。
そんな人がより集まって仲間になって、辛いことを乗り越えて、楽しいこと見つけて学生のようにキャッキャッ言って。
そんな人たちと別れるのは本当に寂しいけれど、別れを悲しめる程の出逢いがあったことに感謝の気持ちを込めて盛大に見送りたい。
カレンダーも送別会でいっぱいになるし、送別会の数だけサプライズがあったり準備や手配するものがあったり。
心も体も頭も忙しい季節でもある。
そこに今年は、習っているボリウッドダンス のパーティーもあり、その中でのサプライズダンスにも参加することになっていた。
ある日、そのダンスの練習を我が家ですることになる。
集まっていること自体、秘密。
練習が終わり解散してから、時間のあるAちゃんとお喋りをしていた。
そこへ友達から送別品の相談メールが来る。
喋りながら見たため、何気なくその画像をAちゃんに見せてしまう。
「あ、それ私のだわ。」
そう。Aちゃんももうすぐ日本へ帰国してしまう。
これはAちゃんへの送別品だった。
恒例の送別品だから完全なサプライズではないけど、私、やってもうた。
Aちゃんが帰ってから息子を連れて公園へ出る。
Bちゃんに会って「さっきさー、Aちゃんが」と自分のさっきの失態を話そうとしたところで、Bちゃんはダンスのサプライズのこと知らない人だと気付く。
Aちゃんが単独で私の家に遊びに来るのは不自然。
「うちのマンション見かけた気がするー」
って言ってからBちゃんはAちゃんのこと知らんやん!って気付く。
別に普通にうちに来たって言って大丈夫やった。
その後Cちゃんに会う。
Cちゃんはサプライズダンスのこと知ってる。大丈夫。
「さっきAちゃんとかと練習してたんやけどさー、私」
ここまで言って、Cちゃんももうすぐ帰るんだったと気付く。
AちゃんとCちゃんは同じグループに所属していて、同じく恒例の送別品を渡すことになっている。
だから送別品の話はしちゃダメ。
ひーーー、着地点が見つからねーー!
たいして遠くに離れていない息子を追いかけるフリして、もうその場から逃げる。
逃げるて、、、。
あかん、もう 誰と何を話していいのか分からない。
しばらくは天気の話しかしちゃだめだ。。。
他にも内緒のメッセージビデオ作ったり、メッセージカードを作ったり、なんやかんやとミッションをクリアしていった。
どのミッションもチームワーク抜群で大成功。
そうして、1人、また1人と日本へ帰って行く。
涙、涙、のお別れ。
でも一時帰国や旅行でしばらく会えないって、ここではよくあること。
だから、もうここには帰ってこないという実感はなかなか湧かない。
1年前にお別れした友達でさえ、ふらっとそこらへんのお店やマンション内で会いそうな気がしている。
自分が帰る時はまた違うのだろうか。
てかいつ帰れるんだろうか。
みんなの本心はただ一つ。
『あの人より先に帰りたい』
↓すべてはここから始まった。