青春の雨
ランチの約束があった日のこと。
ちょうどそこへ向かってる途中から大雨になる。
あっという間にそこら中の道が川のようになった。
ランチに行くお店は、いつも車を降りるところから入口まで20mくらい?
何メートルあるか分からないけど、とりあえずそこから走ると、びっちょびちょのぼっとぼとになるくらいの距離がある。
いつものとこはダメだ。
傘もない。
同じ建物には車のシュールームがある。
ビルの入口に横並びにあって、車が少し入れるスペースもある。
そこからなら5m程で屋根のある所に行ける。
5mなら濡れてもまぁしれてるやろ。
ドライバーに言ってそのスペースに入ってもらう。
ショールームの前には数人のおじさんたちが雨宿り中。
そこにダッシュで私も滑り込んだ。
バケツをひっくり返したような雨。
たった数歩走っただけなのにもうびっちょびちょ。
ショールームの中にいるおじさんに、ショールームを通って中に入れないか聞いてみたけど、中では繋がってないとのこと。
たしかに、いつも中から見えるけどドアらしきものはなかった気がする。
しょーがない。
壁伝いに屋根とも呼べないような少ーしの出っ張りの下を通っていこうか。
。。。
あかん。
先を見ると、その少しの出っ張りすらもなくなってる場所があり、さらに他の屋根から落ちてきた水で滝のようになっているのが見えた。
どうしようか、、、
息子のお迎えの時間もあるし、止むのは待ってられない。
おじさん達に見られながら腕組みして「どーしよーーー」と声に出してつぶやく。
すると視界の端でゆらっと見えた、それ。
ショールームのガードマンが傘をさしとるやないかーい!
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
ガードマンのおっちゃんに「ちょっとちょっと」と手招きする。
「なんだ?」とこっちに近付いてくるともう一方の手には折りたたまれた傘!!
相合傘になってもいいから入口まで連れてもらおうと思ったけど、相合傘にならずに済む!
「その傘、私にかして」
「ほんでおっちゃんも私についてきて」
と伝える。
なんかよく分かってない風やけど、もう一つの傘を私に渡してくれた。
傘をさして、おっちゃんに手招きしながら「こっちこっち」とついてきてるか振り返る。
すると、雨宿りをしてた数人のおじさん達が、私とガードマンに向かって耳を疑う言葉を発した。
「ヒューヒュー!!」
いつぶりに聞いたやろ。
それがまさか自分に向けて言われてる。
そしてそのお相手はガードマンのおっちゃん。
中学生か!
もしくは牧瀬里穂か!!
おっちゃんも照れんなよ!
なんやねん、この状況!
ありがとう言いそびれたやないかーい!
↓すべてはここから始まった。