不便を楽しむ
今まで日本にいた時は、当たり前に手軽に手に入ったものの数々。
牛肉、豚肉、美味しい魚貝類、新鮮で綺麗な野菜、美味しいお菓子、マンガ、好きなアーティストのCD、痒いところに手が届くアイデアグッズ、100円均一と言う名の天国。
牛肉はまず手に入らないし、他の食品も売っているところが限られていたり高価だったり、安心して美味しく食べられる野菜も手に入る曜日が限られていたりする。
ちょっと一品足りないなって時のお惣菜とかも売ってないし、玉ねぎ切って炒めるだけとかの“これレトルトじゃないよね、だって切って炒めて調理してるもんね、手抜きじゃないよね”感を出せる半レトルト食品もない。
冷蔵庫の残り物で何かレシピを検索してみても、「この野菜手に入らないー。このおかずにこの食材使っちゃうのもったいないなー。」とか。
最初の頃は、とにかく鶏肉のレシピだけで乗り切っていた。
唐揚げ、チキンカツ、筑前煮もどき、シチュー、チキンカレー、マヨやポン酢や照り焼きやとにかく味を変えて焼く。
日本の友達に「じゃ、鶏肉だけで生きてるの?」と言われるけど、さすがにそれじゃ無理。
一時帰国の時に、肉や魚、油揚げとかカニカマ、納豆とか何でもかんでも冷凍して保冷して、スーツケースにパンパンに入れてせっせと運ぶんですよ。
そして業務用みたいな大きい冷凍庫に、大事に保管してチビチビ消費。
そんな苦労があるからなのか、ただの豚しゃぶなのに毎回「うっっまっっっっ!!!」って感激できちゃう。
決して料理の腕は上がってないし、高いお肉を買ってきてるわけではない。
久しぶりに食べたチーズおかきに、美味しすぎてまじで涙が出る。
簡単に手に入らないと価値が上がる。
近所のスーパーひとつで全部が揃う日本がどんなに便利だったか思い知る。
日本では日常で当たり前だったことに感激できるのは、何かと不便なインド生活のいいところかもしれない。
そんな苦労を分かちあっているインド在住の日本人の友達。
一時帰国や旦那の出張の予定があれば、必要なものないか?と声をかけてくれる。
化粧品、日用品、かかとが潤うソックス、息子のトレーニング箸、和服の小物、好きなアーティストのCD。
どれもこれもありがたい。
一つ一つに友達の気持ちがこもっているのを感じる。
最近の楽しみは、息子が寝てから夜な夜な買ってきてもらったCDを聞くこと。
DVDプレーヤーでしか聞けないから、何かの片手間ではなく、歌詞カードをじっくり見て曲を噛み締める。
久しぶりに歌詞の一つ一つが体に染みて、アルバム1枚が自分のものになるのを感じる。
不便は不便でいいものだ。
負け惜しみかもしれないけど、、、
↓すべてはここから始まった。